日本もアメリカも「良い学校→良い会社」というモデルがもはや存在しなくなった今、日本のお受験の必要性はあるのか・・と常に考えてしまいます。
私は住む場所が変われど必ずその土地の商工会議所の会員になることにしています。何故ならば、現在自分が住んでいる場所で何が起きているのか、何をしなければいけないのか、政治、教育、産業、地元のビジネス・・・などを知るにはその場所の専門家の話を常に聞いておく必要があるからです。特に自分でビジネスをしている場合は当然なので。
先日月に一度開かれる定例会に参加しましたが、今回の議題は「教育について」で地元の教育長がゲストスピーカーでした。色々な角度から話をしてくれたのですが公務員としての堅いお役所寄りの意見ではなく、彼の率直な意見はとても印象的なものだったのでここで少しシェアしたいと思います。
彼曰く、アメリカは今学校の教師不足だという話で、そのような状況になってしまったかという原因は「教育の質を上げるぞ!」という大人の勝手な目標の為に子供たちをテスト漬けにしてしまった結果が今に至ると・・・。スコアでばかり学力を判断されるような学校になってしまったために、そんな環境で教師になって教えようということに興味を持つ子供が全然いなくなったと。
この話はアメリカだけでなく日本も一緒かなぁ・・・と聞きながら考えました。高校へ行き、当然その後は大学に進学する・・・ということばかりに集中させたので、子供が訴える本当の声を聴いてあげられていないと彼は語りました。
現在の子供たちの5人に1人はメンタル(精神的)に問題を抱えているという現実があり、高等教育へ進学することがその子にとってベストなのかどうかということをきちんと個々に見てあげられていないと。
子供の中には進学ではなく、専門職の分野を学びスキルを得ることがベストな子供も沢山いるのに・・・という話でした。そして、今子供に大切なものは「実践や体験」地元の企業や職人の下で仕事を実際に見学したり何かを体験する事が学校の勉強よりなにより彼らの将来の役に立つと。私も本当にその点に関しては共感できる部分が沢山あります。
日本に限らず韓国や中国といったアジア圏は特にそうですが、晩ご飯のお弁当も持たせて塾で夜遅くまで勉強させ、受験をさせて無事に良い大学を出たとしても世の中に「終身雇ってもらえる良い会社」というものが存在しなくなった今、本当はもっともっと子供の頃にさせてあげなければいけない大切なものがあるのではないでしょうか?
東京に居るこの冬大学受験を控えた甥っ子が「大学には進むけど最終的には、やっぱり起業かな・・・って最近思い始めた」とLINEでメッセージをくれました。高校生の時点で彼自身「企業戦士になることが自分の人生ではない」と気づき始めたのだと思います。
我が家でサラリーマンをしていないのは叔母の私だけ。代々サラリーマンの家族ですが、小さな頃から日本で暮らしたりアメリカで暮らしたり、色々な仕事を色々な場所で好きなようにしている叔母の姿を見ている彼は「それもありかな・・・」と思ったのでしょう。
恐らく自由奔放な私を見て「人生何でもありだな」と思ったのだと思います(笑)他人に迷惑をかけず自分の行動に責任を持てるのであれば本当に「人生何でもあり」です。人生は一度きり、何かを我慢したり、自分が好きでも無い事を強いられるような環境にいたら病気になってしまいます。
私は特に日本の今の子供たちに必要なものは「一人一人が違っても良い」「皆一緒でなくて良い」「自分の意見を持って良い」「先生と意見が違っても良い」「失敗を恐れず先ず思ったことをやってみる」「うまくいかなかったら、何故うまくいかなかったか考えて軌道修正してみる」「周りの様子を見て、今自分が出来ることを考え行動してみる」といった事だと思います。
こういう事は残念ながら日本の学校教育では経験できません。もし学校で経験できないのであればそれを経験できる環境を周りの大人が提供してあげれば良いのです。
私がここ数年で始めた「子供の起業家精神育成プログラム」は実は20年前からずっとやりたいと思っていたことでした。20年前を振り返っても今の日本の教育はその頃と全く変わりはなく、変わりないどころか途中でゆとり教育に振り回された世代の子がいたり、国際情勢に追いつかないまま、古い体質の教育が行われている事で変わらないどころか後退している気がします。
私学やインターナショナルスクールに通わせたり、子供が新しい分野に挑戦できるのはお金に余裕のある富裕層のみ・・・と限定されてしまうことも貧富の差を益々拡大する危険な社会に進んでしまいそうで、とても心配です。
日本では大手の学習塾である河合塾が学校法人として来春「ドルトン東京学園」を開校予定です。魅力的な教育方針ではありますが、学費は初年度148万円といった高額なものです。私は子供達全員に公平にチャンスがあるような社会になってほしいと願っています。
もちろん現実は厳しく理想論であるのは十分承知の上ですが、一人でも多くの子供たちが自分で好きな事を見つけ出し、ワクワクしながら将来それを自分の職業としてハッピーに暮らしていける基盤作りの手助けを自分ができるのであればこれ以上嬉しいことはありません。
私が自分自身ずっと新しい事を学び続けるのは自分の知識を高めることと同時に日本の子供達が明るい未来を描けるよう、自分が得た知識を子供たちにこれからも継承していきたいという思いからです。
年明けいよいよスタートする「キッドプレナー講座」もそのきっかけの一つになってくれればと願っています。
このプログラムには実は2つの異なった目的があります。
まず一つはプログラムのタイトルにもあるように、日本の子供たちの起業家精神を育成するプログラムであること、そしてもう一つは父兄や教育関係者、そして現在または将来自分で事業を持ちたいと思っている人にも自分の事業を持つという事のコンセプトを子供たちと一緒に学んで欲しいというのがこのプログラムの目的です。
子供の起業家精神を養うには親を含め周りの大人たちが彼らを励まし、アイデアを褒めて自信を持たせる事が何よりも重要です。
学校の授業の補習や受験勉強のように塾に任せきりにするということは起業家精神を育てたい場合には出来ません。課題に一緒に取り組んで意見を交換したり子供達だからこそ思いつくようなアイデアに刺激を受けたりしながら想像力を強化したりビジネスのコンセプトを学んで頂ければばと思います。